「電子モンゴル語辞典」 清水幹夫編
編集者より
《I》この辞書について
「現代モンゴル語辞典」改訂増補版・第一版(大学書林・1994年東京)を版権者である小沢重男氏と発行者である大学書林社長佐藤政人氏の許可を得て電子的に検索できるように編集し直し下記のような変更・追加を行い、「電子モンゴル語辞典」をつくってみました。Macintosh用とWindows用とを編集しましたが、発行はいたしませんので、大学書林には電話等で問い合わせをしないようにお願いします。検索ソフトについては、 II.II.I.検索ソフトを使用せずに(無料で)検索する方法、II.II.II.検索ソフトを使用して(有料で・一部無料で)検索する方法等を使います。
I.I.編集方針
I.I.I.変更
コンピューター上で (1)モンゴル語(キリル字)から日本語とモンゴル文語(ローマ字転写) (2)文語(ローマ字転写)から日本語とモンゴル語(キリル字) (3)日本語からモンゴル語・文語(キリル字・ローマ字転写)の3通りの検索を可能にするため、下記の変更を加えました。
左側 → 右側
変更前の表記(「現代モンゴル語辞典」での表記) → 変更後の表記(この電子辞典での表記)
a)編集者でない限りなぜ一部平仮名なのか(なぜ一部漢字なのか)わかりません。常用漢字でないものは漢字表記しないという原則がすべてにいきわたっていればいいのですが、残念ながらそうはなっていませんでした。例えば、「あいさつ」は常用漢字ではないので平仮名表記ですが実際には「挨拶」と漢字で書かれていたりします。こうなると平仮名と漢字両方で引かなくてはならなくなります。また、「くま手」と一部漢字で入力しないと検索できないのでは利用価値が低下してしまいます。そこで平仮名の「あいさつ」「くまで」「ねぐら」、漢字の「挨拶」「熊手」「塒」どちらからも検索できるように変更しました。
あいさつ → 挨拶(あいさつ)
挨拶 → 挨拶(あいさつ)
くま手 → 熊手(くまで)
寝ぐら → 塒(ねぐら)
おそく(い) → 遅く(遅い)・おそく(おそい)
小(大)寒 → 小寒(しょうかん)‐大寒(だいかん)
生(なま)〔の〕→ 生(なま)‐生の(なまの)
貯水池‐槽 → 貯水池(ちょすいち)‐貯水槽(ちょすいそう) など
b)次の例は途中に振り仮名が入ってしまいやはりこのままでは検索できません。そこで漢字・平仮名どちらからも検索できるように次のように変更してあります。
奔(ほん)走 → 奔走(ほんそう)
唖(あ)然 → 唖然(あぜん)
凝(こ)る → 凝る(こる) など
c)次の例は同じ意味の日本語が様々に表記されたままになっているものです。私も「現代モンゴル語辞典」の執筆者の一人ですが、辞書は数人が原稿を分担して書いており、余程まめに編集会議を持たない限り統一のとれたものにはなりません。特に字句については最終責任者が最後に最も根を詰める作業である詳細な校正・編集を受け持たなければいけません。完全なものは望めないとしても特に電子的に見た場合、「現代モンゴル語辞典」にある表記のままでは日本語から一括検索ができないのです。まったく検索ができない訳ではありませんが、いちいち何通りもの可能性を考えて入力しなければならなくなり、時間の無駄になります。そこで各人各様の表記を統一する必要がありました。
くりぬく・くり抜く・くり貫く → 刳り貫く(くりぬく)
馬捕り竿・馬捕棹・馬捕竿・馬捕りざお → 馬捕竿(うまとりざお)
うさぎ・兎・兎(うさぎ) → 兎(うさぎ) など多数
統一の仕方は広辞苑(第四版)によっています。後述しますが、先ずは漢字・漢字仮名交じりで(全ての漢字に仮名が付してある訳ではありません)、それで検索できないときは次に平仮名のみで検索するようにしました。詳しくはII.II.IV.日本語から検索する方法参照。
I.I.II.追加
a)正しく読めないもの
読みを追加しました。
護身符 → 護身符(ごしんぷ)
鶏冠石 → 鶏冠石(けいかんせき)
高桟敷 → 高桟敷(たかさじき) など
b)読めても理解できないもの
読みと説明を追加しました。
河原決明 → 河原決明(かわらけつめい=まめ科の一年草.原野の砂地や河原に多い)
細引き → 細引(ほそびき=麻を撚り合せた細い丈夫な縄のこと)
ロープのねじ → 縄の捻(ねじ=生糸の綛(かせ)の形状を維持しながら、嵩(かさ)を小さくして取扱いに便利なように結束したもの。ねじりとも) など
c)読みにくい・理解しにくいもの
読み・説明を追加しました。
嬌態 → 嬌態(きょうたい)=なまめかしいこと
園丁 → 園丁(えんてい)=公園や庭園の手入れをするのを職業とする人
怯懦な → 怯懦な(きょうだな)=臆病で意志の弱い など
d)まったく読めない・まったく理解できないもの
読み・説明を追加しました。
仏手柑 → 仏手柑(ぶしゅかん)=みかん科シトロン類の常緑低木
鶚鳥 → 鶚(みさご)=たか目みさご科の鳥で大きさはほぼ鳶(とび)に同じ
金雀花 → 金雀花(えにしだ)=まめ科の落葉低木 など
ただし、蒙漢辞典などより中国語訳をそのまま表記しているだけと思われるものは編者の力不足にて理解できなかったので今回はそのまま放置してあります。
星鳥・委陵菜・面条魚など
e)適訳が他にある場合
適語を追加しました。
時機をえた雨 → 時雨(じう).時機をえた雨
魚を獲る網 → 漁網(ぎょもう).魚を獲る網
肩に負って行く→ 背負う(せおう)・担ぐ(かつぐ) など
f)外人用読み方注意
読みを追加しました
隠れ家 → 隠れ家(かくれが)
そえ髪 → 添え髪(そえがみ)
牛車 → 牛車(ぎっしゃ) など
g)使用されていながら略語表に掲載されていないものの追加
既に記載があるもの
〈動〉動物 〈植〉植物 〈鳥〉鳥類 〈虫〉虫類 〈魚〉魚類 〈天〉天文学 〈言〉言語学・音声学 〈宗〉宗教 〈転〉転意 〈医〉医学・生理学
使用されながら略語表に未掲載のため今回補う必要があったもの
〈敬〉敬語 〈写〉写真 〈文〉(他に〈文法〉・〈語〉とされていたもの→〈文〉に統一)文法 〈哲〉哲学 〈建〉建築学 〈古〉古語 〈解〉解剖学 〈数〉数学 〈口〉口語 〈歴〉歴史学 〈民話〉民話学 〈獣医〉獣医学 〈慣〉慣用語〈考〉考察 〈詩〉詩歌 〈鉱〉鉱物 〈工〉工学 〈生〉生物学 〈馬具〉馬具 〈小児語〉小児語〈諺〉諺
I.I.III.訂正
a)綴りミスの訂正
見出し語
υргэлжлэд → υргэлжлэл
хойшлошгυи → хойшлошгυй
хайрлагтун! → 文のためхайрлахの項に移しました
解説中эахирах → захирах、しがみつく→しみがつく など
b)訳の訂正
Чи тэднийг дагуулаад ууланд явах хэрэгтэй.
彼は彼らを連れて山へ行かなければならない. → 君は彼らを連れて山へ行かなければならない.
замын халтиргаанаас тойрч гарах.
道のぬかるみをよける. → 道が滑るので避けて通る.
цайны тосгуур 茶うけ → 茶盆(ちゃぼん)・茶盤(ちゃばん) など
c)文語形が二つ以上ある時、5種類ある表記方法をセミコロン一つに統一。
1.括弧に入れているもの (qayimu〔Gu〕r) → (qayimur; qayimuGur)
2.カンマで区切っているもの (toyiraGu,toGuriGu) → (toyiraGu; toGuriGu)
3.セミコロンで区切っているもの (toltu; tolti) → (toltu; tolti)
4.〜記号で区切っているもの (debel〜degel) → (debel; degel)
5.カンマで区切り途中から示しているもの(jayijiGar, -jigir) → (jayijiGar; jayijigir)
d)使用すべきではない語は改めました。
つんぼ → 耳の不自由な(人)
おし → 口の不自由な(人)
母国語 → 母語 など
I.I.IV.削除
a)語幹部を示す縱の点線は、慣れると自分で推測できることから、電子辞典では省きました。
b)「常用単語と呼びうる語」に付された*印は、「常用」の解釈の違いから、電子辞典では省きました。
c)電子検索上必要がないものは省きました。
1.「序に代えて」
2.「改訂増補版への序」
3.「本辞典使用上の栞」
4.「略語表」
5.「主要参考文献」
6.「モンゴル文字新旧対照表」
7.「蒙古語文語・現代モンゴル語 対照索引」
8.「モンゴル国の地図」
9.「日本語・モンゴル語対照語彙集」
10.「語尾変化表」
だだし、これらのうち、
4.「略語表」は、I.I.II.追加 使用されていながら略語表に掲載されていないものの追加 として採り上げました。
6.「モンゴル文字新旧対照表」は、《II》この辞書の利用方法 II.I.表記方法 特別なフォントをインストールする必要なく、また、特定のOSに依存することのないように配慮しました、とあるように電子辞典では変えています。電子版用には添付ファイル「モンゴル文字新旧対照表」(電子版用)を用意しました。
7.「蒙古語文語・現代モンゴル語 対照索引」は、電子辞典はどこからでも引けるのでまったく不要となりました。従って、省きました。
9.「日本語・モンゴル語対照語彙集」は、もっと詳しい「電子日蒙索引(辞典)」を作成しました。従って、「電子モンゴル語辞典」とは区別しています。
尚、「現代モンゴル語辞典」改訂増補版・第一版(大学書林・1994年東京)を理解するのに役立つと思い「現代モンゴル語辞典」には記載されているものの、「電子モンゴル語辞典」では電子検索上必要がない理由で省いた上記のものを電子化しておきました。
I.I.V.同様の表記
a)見出し語は現代モンゴル語形で示し、その後にローマ字転写による蒙古文語形を括弧に入れて並記しました。
b)用例において、語幹部の繰り返しを 一 で、見出し語の繰り返しを 〜 で、それぞれ示しています。
例えば、見出し語「яавах」の用例で、 一наとあるのは、яавнаと読みます。また、〜 хυнは、яавах хυнと読みます。特に、〜 には注意してください。任意を示す〜は … で辞書中では表記されています(これについては「現代モンゴル語辞典」のどこにも触れられていませんが)。さらに、〜 の後にスペースがあるか、無いかも注意してください。
例えば、見出し語「ус」の用例で、〜ныとあるのは、усныで1語、もし、〜 ньならそれは、ус ньという2語になります。また、見出し語「цэрэг」の用例で、〜ийнとあるのは、正書法上はцэргийнと書きます。この場合、〜 は見出し語と完全に一致しませんので、用例の表記については正書法をモンゴル文法書で学習の上ご理解下さい。
《II》この辞書の利用方法
II.I.表記方法
特別なフォントをインストールする必要なく、また、特定のOSに依存することのないように配慮しました。ほとんどの日本語環境でこのまま表示できます。過去でも未来でも当分は大丈夫でしょう。欠点は慣れるまでやや読みにくいことです。
Windowsの場合
見出し語… 和文コード表2721から2771までの全角ロシア文字にて表記
ただし、Υ(2634), υ(2654), Θ(2628), θ(2648)の4字は全角ギリシア文字にて表記。また、文語形は和文コード表0041から007Aまでの半角ローマ字にて半角括弧に入れて全角ロシア語の次に表記(添付「モンゴル文字新旧対照表」を参照して下さい)。
品詞… 〔〕括弧に入れ表記
本文… 日本語フォントMSゴシックにて表記
Macの場合
見出し語… 和文コード表8440から8491までの全角ロシア文字にて表記
ただし、Υ(83B2), υ(83D2), Θ(83A6), θ(83C6)の4字は全角ギリシア文字にて表記。また、文語形は和文コード表0041から007Aまでの半角ローマ字にて半角括弧に入れて全角ロシア語の次に表記(添付「モンゴル文字新旧対照表」を参照して下さい)。
品詞… 〔〕括弧に入れ表記
本文… 日本語フォントOsakaにて表記
II.II.使い方
II.II.I.検索ソフトを使用せずに(無料で)検索する方法
何か無料の、あるいは既にお持ちのエディター(BBEdit, YooEditなどは無料)かワープロ(MSWord, 一太郎など)で検索・一括検索を利用します。一括検索がしっかりしているものであれば(例えばJedit3・4など。Jeditは無料でしたが、その後Jedit2から有料になりました。残念ながら無料のJeditには検索はあっても一括検索はありません)、そこそこ使えなくはありませんが、最も能率の悪い方法なのでお勧めではありません。また、Internet ExplorerやNetscape Navigatorなどでも開けますが時間がかかるし、効率が悪いです。
I.II.II.検索ソフトを使用して(有料で・一部無料で)検索する方法
[Windowsの場合]
「Qgrep32 Ver.3.3」:無料 http://www2k.biglobe.ne.jp/~araken/
「みやぐれっぷ[検索専科]Mgrep143 Ver1.4.3」:無料 http://www.bea.hi-ho.ne.jp/marbo/
「Jamming2.1」:30日間検索無料 後登録料¥3,000 http://www.bekkoame.ne.jp/~asato/jamming.html
ご予算とお使いの機器やOSとの関係で何度か使用してから決められるといいでしょう。Macの世界と違って無料のソフトが数多く出ているようですので、これ以外にもいいものがありそうです。Jammingにしても30日後警告がでますが10秒後使えます。
MacではJamming(有料ソフト)で検索することをお勧めしますが、WinではJammingはお勧めいたしません。その理由は次の II.II.IIIモンゴル語から検索する方法(Jammingの場合)をお読みになれば解ると思います。つまり、例文など辞書中に使用されている全モンゴル語の中から、当該モンゴル語全てを検索することができません。これでは困ります。また、文語検索も不完全です。そこで、無料の「みやぐれっぷ[検索専科]」をここではお勧めしておきます。「Qgrep32」でもいいのですが、ちょっと使いづらい感じがします。どちらもWin版Jammingができないことを可能にしています。「みやぐれっぷ[検索専科]」か「Qgrep32」をお使いの場合は「Mgrep・Qgrep用」フォルダーに收められた辞書を、また、Jammingをお使いの場合は「Jamming用」フォルダーに收められた辞書をDATA・INDEXフォルダーごと、それぞれ使います。 詳細はそれぞれのソフトに付随するマニュアルを参照してください。
[Macの場合]
「file検索犬ポチ2.4(PPC)」:360回検索無料 後登録料¥1,000 http://www.vector.co.jp/soft/mac/util/se054768.html
「CatFind1.20(Fat)」:300回検索無料 後登録料¥1,500 http://www.at-m.or.jp/~shibata/
「Jamming2.9.1(PPC, 68k)」:30日間検索無料 後登録料¥3,000 http://www.bekkoame.ne.jp/~asato/jamming.html
ご予算とお使いの機器やOSとの関係で何度か使用してから決められるといいでしょう。初めはみな無料です。これらをずる賢く使うと数年以上無料で使えます。が、作者のために買ってあげましょう。
以下はJamming(有料ソフト)でユーザー辞書として登録して検索することを前提に解説してあります。他のソフトでもほぼ同じことができますので、詳しくはそれぞれのソフトに付随するマニュアルを参考にして下さい(検索方法・検索速度はそれぞれ違います) 。file検索犬ポチかCatFind1.20をお使いの場合は「CatFind・file検索犬用」フォルダーに收められた辞書を、また、Jammingをお使いの場合は「Jamming用」フォルダーに收められた辞書をDATAフォルダーごと、それぞれ使います。
II.II.IIIモンゴル語から検索する方法
a)見出し語(キリル字モンゴル語)から検索する
ユーザー辞書としてまず登録します。検索対象は「一網打尽・前方一致・後方一致」のいずれかを選択します。次に全角ロシア文字(「ATOK」・「ことえり」などの「文字パレット」より)を検索窓に入力し、SHIFTキーを押しながらOKボタンを押すだけです。尚、本文中に使われている単語はモンゴル語、日本語、記号など何でも検索窓にDrug&Dropして再検索可能です。キーボードから打つ必要はありません。
b)形態素を取り出す。
検索対象は「一網打尽・前方一致・後方一致」のいずれかを選択します。次に全角ロシア文字を検索窓に入力し、OKボタンを押します。SHIFTキーは押しません。
c)例文など辞書中に使用されている全モンゴル語の中から、当該モンゴル語全てを検索する
検索対象を「本文」に変えます。次に全角ロシア文字を検索窓に入力し、OKボタンを押します。ただし、その語と同じ綴りを一部に含むものも全て検索されます。
d)モンゴル文語から検索する
検索対象を「本文」に変えます。次に半角ローマ字を検索窓に入力し、OKボタンを押します。ただし、その語と同じ綴りを一部に含むものも全て検索されます。
II.II.IV.日本語から検索する方法
先ず、検索対象を「本文」にして下さい。それから検索語を入力し、OKボタンを押します。
同音異義語を排除でき、検索能率がよいので漢字で直接入力します。漢字を多く知っているほど有利です。漢字一字だけでも検索可能です。漢字・送り仮名は原則として広辞苑(第四版)によりました。色々表記がある場合はなるべく全部か慣用的に使われないものは除いて複数入れてあります。Hitしない場合には平仮名で検索します。また、「トン」<(英)ton、「ラジオ」<(英)radioなどカタカナ書きが定着している外来語はカタカナで入力します。動植物名・擬音語・擬声語・擬態語は外来語起源を除きカタカナを使用していません。漢字・平仮名で入力します。尚、初めから検索指定してあるのはロシア文字(一部ギリシア文字)だけですので、Hitした本文の中から該当語を自分で発見したり、見出し語と参照したりする必要があります。
<表記の統一化一部の例外について>
ふるまい・振舞い・振舞 → ふるまい
ふるまう・振舞う → ふるまう
なるべく漢字でという原則からすると「振舞」「振舞う」に統一したいのですが、そうすると「舞」や「舞う」の検索時に198語もHitし、その中から見つけなければならなくなります。これではかえって能率が悪くなります。そこで「ふるまい」「ふるまう」にしてあります。「振るまい」「振るまう」にすると今度は「振る」が検索しにくくなってしまうのと、なぜ一部平仮名にするのかという問題が生じます。
いとこ・従兄弟・従姉妹 → いとこ
この語は他に従兄・従弟・従姉・従妹などとも書かれ、全て漢字表記すれば行が長くなってしまうので平仮名に統一しました。
数字は原則として算用数字を使用していますが、慣用表現や「いち」「に」ではなく「ひとつ」「ふたつ」などと数える時は「一つ」「二つ」のように表しています。
また、「烏」(からす)は「鳥」(とり)と電子辞典上は画面で区別しにくい漢字です。そのために、「烏」という漢字は実際よく使われていても「鴉」(からす)の方を使用しています。
表記を統一してもこのように検索可能性から漢字ばかりにもできないという制約があり少しばかり不統一が残っていると思います。普段使用しない難しい漢字ばかりになっても読みにくいので、例文などでは見出し語から検索してこれると思われる箇所では平仮名のままにしてある所もあります。今後更に改善したいと思います。
II.II.IV.検索の達人
面白い検索の仕方(Jammingの本文検索を使って)
次のような例を直接またはDrug&DropでJammingの検索窓に入れて本文検索してみます。とても面白い結果が瞬時に(環境によりますが)現れます。コンピュータの素晴らしさを体験できる一瞬です。
(モンゴル語・日本語どちらでも画面に表示されている単語はマウスでDrugし検索窓にDropすることで簡単に検索できます。引用例で不明な語や参照したい語が複数ある時などキーボードを使わずにすみ便利です)
a)文化の研究に
家畜関係
馬1 馬2 馬3 羊 駱駝 牛 山羊 など
動植物
鳥1 鳥2 魚 植物1 植物2 植物3
生活・自然
茶 乳 肉 皮 雨 川 神
b)敬語・婉曲表現の研究に
敬語
c)類語の研究に
飛ぶ・焼く・泳ぐ
d)外来語の研究に
《露1》 《露2》 《露3》 《中》 など
e)その他
「一気飲み」を何とかモンゴル語に訳したい。そんな時は「一息で」と入力します。
すると、「Том хултай айргийг нэг амьсгалаар тонгорч орхиод гарав.大きな椀に入ったアイラグを一息で飲み干して出て行った.」という例文が見つかります。そこから 「-ийг нэг амьсгалаар уух」が思い付きます。
ここに挙げたのは一例です。まだ他に素晴らしい検索の仕方があると思います。
《III》その他
《最後に》
入力に着手したのは2000年2月1日でした。先ず辞書の背を見返しごとはずし、中身だけにします。湾曲部を真っ直ぐにして一気に裁断機で裁断します。それから後は地道な作業が続きます。スキャナーに一枚ずつかけ画像化したものを読み取りソフトで文字データに直します。初めのうちは、精度が悪いので大変ですが、同じミスは学習機能を駆使してある程度正しく文字化できるようになります。エディターの一括変換などを使い、それ以外の読み誤りを変換したりしておきます。最終ページまで文字化するのに、3ヶ月ほどでした。仕事をしながらですので、もしこれだけに打ち込める環境ならば1〜2週間もあれば可能だと思います。問題はここからでした。詳細にわたり訂正をし始めてから、上述のような様々な難題に遭遇し、完成が遅れてしまいました。原形はその年の10月にできたのですが、内容チェックや、不慣れなWindows(元々Mac派でして)へ移植したり、Windows側で動作確認したり(やはり少し違いがありました)、MacではJammingがお勧めでもWinでは勧められなかったりと同じアプリケーションでもWin版では違っていたりと、どんどん時間が経ちました。元本の表記ミス・訳語訂正・死語・廃語の特定などもともと改めなければならないところも含めると、改訂が必要な箇所はまだまだ残っています。今後、それらを直すと共に生活語彙で不足しているもの・専門語・牧畜や動植物関係の語彙・例文・新語などを加え、更に充実した辞書にしていけばよいと思います。辞書に終りという言葉はありません。言葉は恒に変化し捉え難いものです。特に民主化後のモンゴルでは新語が雨後の筍のごとく現れマスコミも混乱しているようです。定着するかしないかは時を待つとしてモンゴル人自ら新語の選定作業を行い整理していくことが不可欠でしょう。それまでに我々がやれることはあります。これに方言を加える、例文を加える、経済用語を強化する、理系の語彙を増強するなどして、更に大きな大きな辞書になって欲しいものです。その際恒久的に大切なのは見出し語の多さだけではなく、どれだけ内容が充実していて信頼に足るか、使用者の立場からどれだけ使い易く編集されているかです。更なるよいものを目指し電子辞書を完成させてみました。ご参考になれば幸いです。皆さんも個人的に電子化してみてください。
〔著作権について〕
「現代モンゴル語辞典」
版権は編著者である小沢重男氏に、また、発行者である大学書林社長佐藤政人氏にそれぞれ帰属します。版権者・発行者の許可無く複製・出版・発行することはできません。
初版 平成6年11月30日 編著者 小沢重男 発行者 佐藤政人
「電子モンゴル語辞典」
版権は著者である小沢重男氏に、また、発行者である大学書林社長佐藤政人氏にそれぞれ帰属します。版権者・発行者の許可無く電子的にも複製・出版・発行することはできません。
見出し語 24,934語:派生語 約7,000語:熟語・句 約15,000:用例 約3,000
著作権者 小沢重男・佐藤政人 編集及び電子編集者 清水幹夫 2001年10月1日完成
発行はいたしません。
編集者連絡先
清水幹夫 Shimizu Mikio
Email smz-mko@jcom.home.ne.jp
開発環境
OS: MacOS 7.1〜9.1
PC: Power Macintosh 7300/166
CPU: Power PC G4 (MAXpowr newertechnology 400 MHz), RAM 272 MB
HD: 内蔵4GB 外付け13GB
CD-RW:Logitec LCW-RW8416/M
OS: Windows 98 Second Edition
PC: IBM Aptiva 27J
CPU: AMD-K6-2/500 MHz, RAM 64 MB
HD: 10GB
CD-RW:Logitec LCW-RW8416
Return